オープンエコロジー宣言!

どうも、「岩本愁猴のスナックあぜみち」です。

 

 

随分ご無沙汰をいたしておりました。緑の滴るような良い季節になりましたね。

年度も跨ぎましたし、皆さんもこの間にいろいろあったかと思います。

私も最近考えていることを書いてみますね。

 

 

先月、日本雑草学会で発表するため東京農工大学に行ってきました。

初めてお会いする方もいましたが、京大時代にお世話になった先生やら、仕事で知り合った先生やら、以前勤めていた会社の方も来ていて、軽くはわわしておりました。

 

私の研究テーマについては少し前のブログでも触れましたが、空撮画像から地上の植生の情報が得られるようになっています。

例えば、機械学習を使って地面と植物はもちろん、大まかな植物の種類もコンピューターが自動で判別できるようになりました。

また、地表に植物が生えていると、そこからの反射光は赤や青の光が少なく、緑や赤外線が多くなる。この特性を利用し、反射光の波長ごとの強さから、地表の植物の茂りぐあいや葉緑素の量を推定できるのです。

こうした技術は農業や林業の分野で、作物や樹木の生育を測るために発達してきました。それを雑草群落に活用することで、雑草の成長や種どうしの競合を評価しようというのが、私のひそかな野望、もとい研究方針です。

 

 

生態学は昔も今も、フィールドを歩いて地点ごとにサンプルや情報を収集するのが基本です。

そこで得られるのは、地点ごとのいわば「点の情報」です。

空撮画像なら、点でなく「面の情報」が手に入る。

植物の分布や面積あたりの生育量などが広範囲に得られます。

 

とはいえ、空撮画像はお高い・・・

衛星画像は高額なうえ、撮影頻度によっては自分が欲しいタイミングの画像がないことも。

逆にドローンなら気象条件や周囲の安全さえクリアすればいつでも飛ばせますが、そんなに広範囲を一度に撮影できるわけじゃない。ある程度マトを絞らないと。

だから、歩いて得た「点の情報」をもとにして、必要に応じてドローンを飛ばして「面の情報」を得るようにすれば、効率よく対象を捉えられる。

 

 

みんなが歩いて得た「点」と空撮で得た「面」を活用して、地域の生態系や景観について考える。

私はこの手法を「オープンエコロジー」と名付けました。

「オープン」という語には、主に二つの意味を込めています。

 

ひとつは、一般の人たちに開かれているということ。

「オープンデータ」や「オープンイノベーション」と言う時の「オープン」と同じです。

情報が公開・共有され、誰でも利用できる。新しい情報も随時追加できる。

個々人がデータを可能な限り公開し、協力してデータを充実させていく。

多くの人が参加することで、従来の専門分野の枠に囚われない調査や分析が可能になります。

 

もうひとつは、情報が点だけでなくひと続きの面にもなっていること。

こちらは「オープンワールド」の「オープン」だと思って下さい。

オープンワールド」とは、「龍が如く」や「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」などのゲームに見られる、継ぎ目が無く自由に動き回れるフィールドのことです。

面的なデータから、動植物の生態や人間の活動を見ることを目指します。

更に、「ポケモンGO」のようにマップ上に自分の位置をリアルタイムで表示できれば、その後のフィールドワークにも活かせるでしょう。

 

 

私がたびたび紹介している「iNaturalist」というアプリは、この「オープンエコロジー」の考え方によくマッチします。このアプリもどんどん使いやすくなっています。これまでは基本的に英語だったけど、最近日本語になったし、学名じゃなく和名で登録できる種類も増えてきたし。

現在、このアプリを活用した自然観察イベントも企画しております。

詳細は追ってお知らせしますね。