講義のこと

どうも、「岩本愁猴のスナックあぜみち」です。

 

先週は急遽、郷里でもある福井県に出張することになりました。

福井県立大学の先生が、県内の現場で外来雑草の分布を調査しているのでその調査に加わり空撮画像を撮ってほしい、と言ってきたためです。

海にほど近い現場だったので風を読みながらではありましたが、何とか滞在中に目的の範囲の空撮画像を撮り終えました。

 

その一週間の滞在中に先生から突然、県立大学でゲスト講師として講義で喋ってほしい、と頼まれました。

 

思いがけない長尺を持て余し、

とりあえず「普段どんな研究をしているか」「福井へは何をしに帰ってきたのか」から始め、

そこから「なぜこんな研究をしようと思ったか」「この研究の先に何を見据えているのか」を話しました。

 

私は京都での大学時代、水田での肥料分の動きを研究したり、ミカン園での病害虫の発生を調査したりしていました。

その過程でコメ農家やミカン農家と繋がって、現場でたくさんのヒントをいただきましたし、

調査を通してわかったこと、考えたことは出来るだけ伝えることにしていました。

今、ドローンや光合成測定装置で野外の植物群落の評価に取り組んでいるのは、

その後の生育を推定することで管理に役立てるという道筋をつけるためです。

全て、現場の問題の解決を最終目標とする研究です。

「当事者の顔が浮かばない仕事はしない」というのが、私のモットーです。

 

講義の最後、私はこうブチ上げました。

生態学をはじめ、環境学社会学歴史学などといったフィールドワークを伴う分野の研究は、もはやプロの研究者だけのものではない。

 スマホのような情報端末が普及し、誰でも日時と位置情報が付随した記録をアップロードし、共有できる時代になった。

これからは市民と研究者が協同して地域の問題解決に取り組む時代だ。

 みなさんの中で将来、プロの研究者になる人は少数で、その他の人は会社や役所に入ったり、自分で事業をやったりするだろう。

 だけど、どんな立場になっても、研究はできるのだ。自分なりの課題を設定し検証する力があれば。

 だから、ぜひ身の回りを探検して、自分の暮らす地域や社会について理解を深めてほしい。

その中で疑問に思うことがあったら、どんな些細なことやマニアックなことでもいいから、

自ら調べ、仮説を立て、行動するということをやってみてほしい」

 

自分は研究者として、市民とプロジェクトを立ち上げ、データの取得や解析の面で指導的な役割を担いたい。

論文執筆や学会発表は、あくまで他の現場に横展開するための参考という位置付けに止めておきたいのです。それが目的ではないのです。

 

後になって、自分の講義を録音するのを忘れていたのに気がついて、後悔しました。

別に自分の話に酔ってではありません。今後に向けて話の内容をより吟味する材料にすべきだったと思ったからです。

こういうところがまだ初心者ですが、与えられた枠の中で自分の体験や考え方をいつでも話せるように備えておかなくてはいけませんね。